デンマークの放送局TV2は、ひとつの実験動画を公開しました。TV2「All That We Share」世界的に「分断」が進んでいると言われる昨今ですが
スタジオに集められた80名は、年代や住んでいるエリアなどでグループ分けされ、次々にボックスに収まっていきます。高所得者、低所得者、デンマーク生まれ、移民、田舎出身、都会人、信仰心の強い人、無信仰者……。日常生活では交わることさえなさそうな多種多様な人たちがひとつの空間にいるため、皆どこか居心地が悪そうです。
そんな中、進行役の男性がさまざまな問いかけをし、該当する人たちによって新しいグループが形成されていきます。
「クラスのお調子者だった人」「死後の世界があると信じる人」
「ダンスが好きな人」「いじめられたことがある人」「熱愛中の人」……
すると、それぞれのボックスから人が歩み出てきます。一見、何のつながりもなさそうな他人たちが、実はさまざまな面で共通点があるということが明らかになっていくのです。そして、初めは表情の固かった人たちも、多くの人と連帯感を感じることで徐々に柔らかな顔つきになっていきます。
「バイセクシャルな人は?」という質問でひとりの男性が前に出ると、その勇気に対して拍手が起こりました。そして最後の「デンマークを愛している人は?」という質問に対しては、全員が1つのグループにおさまりました。
英国のEU離脱や、米国の動向など、世界的に「分断」が進んでいると言われる昨今ですが、普通の人たちが意外と簡単に自分の“枠”を飛び出し、他人と通じ合うことができる姿に、どこかホッとした人も多いのではないでしょうか。
もともとはデンマーク語のみ公開されていましたが、世界的に反響が大きく、英語版も制作されることになった本作。意図的かは定かではありませんが、英語版が公開されたのが、米国の入国制限に関する大統領令が明らかになった日に重なり、込められたメッセージがなおさら際立つ結果となりました。