きさらづ民話 「かもさ話 間のいい鉄砲ぶち」「かもさの旦那」のうちでは、あの獲物でカモ汁、キツネ汁、ウナギの料理やら雑魚の料理やら山ほどのご馳走を作って「かもさの旦那」はみんなに言ったと。

木更津市の鎌足地区には、古くから語り継がれている「かもさ話」があります。 この話しは普通「とんちもの話」あるいは「おどけもの話」と呼ばれている共通点があります。 一休さんのとんち話、ご存じですね。これなどは特に有名な話しです。 この「かもさ話」は、屋号を「かもさ」という人物が自分自身で話しを煮詰めて、面白可笑しく語っている話しです。 この語りを全国的にも珍しい話しとして木更津に伝わっています。 暮らしの中の独特の雰囲気を醸し出す面白い話しです。

「かもさ」の旦那は自分では鉄砲打ちの名人と思っている訳で一羽じゃぁ物足りない。三羽並んだところをパァーンと打ちたい訳で、じーっと我慢して三羽並ぶのを待ってたんだがカモの奴はなかなか三羽並ばねぇわけ。 待ちくたびれて「かもさ」のだんなは打っちまったわけ。んでカモのところへ行ってみると運が良かったものやら、間がいいって言うものやら一羽打ったはずなのに三羽のカモが打たれてたわけだ。 「かもさ」の旦那は大喜び。それを寄せ集めているとそっちの方からガサガサ音がするので「あじしたな」と見てみると、そっちの藪の方でキツネが暴れているわけ。

「かもさ」の旦那は「キツネの奴、昼寝でもしてるとこに鉄砲の流れ弾が当たっちまったな、それで暴れているんじゃないか」と、近づいてみると横っ腹に鉄砲の弾が流れて当たって、キツネにしてみれば大迷惑。逃げようとするが後ろ足がついていかない。ただただ前足をばたつかせて、穴を掘っているだけ。 それを見た「かもさ」の旦那はええい!とばかりに鉄砲の先でキツネの頭をぶったたいたんだと。それでキツネは死んでしまった。 死んだキツネをよけて穴を見てみると、ええものが見えるな、よーく見たら二貫目もありそうな自然薯が顔を出した。「かもさ」の旦那は、あっという間に苦労せずにカモを三羽、でっかいキツネを一匹、自然薯二貫目も手に入ったわけだ。