きさらづ民話 「ヒルと弘法大師」富来田にひるさくという地区があります。昔から伝わる「ヒルと弘法大師」という話し

昔むかし、ひるさくにはヒルがいっぱいいて、毎年田植え時になると「あじしたもんじゃろな、困ったもんじゃ」と村人たちはみんな言い合ったそうじゃ。
田の仕事を始めると体中にヒルがいっぱいくっついて上の方を見ると木の枝にはヒルがいっぱい。ボタボタ落ちてきて困ったもんじゃと言ってたそうじゃ。

そういうヒルがいっぱいいることから「ひるさく」という地名が付いたんじゃと。
あるとき、旅のお坊様が通りがかった。ひるさくの人たちが、ヒルがいっぱいいて困っているという話しを耳にして、お坊様は「こりゃ大変じゃ。気の毒になあ。そうじゃ私がなんとかまじないをかけてやろう」とおっしゃったそうじゃ。
それからというもの、ひるさくの人々はヒルに食いつかれなくなったんだと。
田んぼには今まで通りヒルがいっぱいいて、上を見ればヒルがいっぱいぶら下がっている。

でも、よーく見ると、どうも目が見えなくなっているらしい。そうじゃあのお坊様がまじないをかけてくれたからじゃの、と村人たちは大喜びしたんじゃと。 あの旅のお坊様こそ弘法大師様だったんだと。